自動車の教習で運転用シミュレーターがあるように、軍用車の運転シミュレーターや、市街戦での状況判断シミュレーターがある。ゲームではないので面白さを追求する必要はないが、リアルさの追求はシミュレーターにとっては非常に大切なポイントだ。実際にその場にいるような緊張感。それを得るために「3D」の波に乗るのは、ごくごく自然の成り行きである。

今回記者が体験したのは、「テロ対策特殊装備展2010」に出展されていたRealViz社の「VBS2」システム。装甲警備車の運転係と砲塔係がタッグを組み、同時に訓練できるというのが特徴。一般市民も生活する市街でのパトロールという設定で、いざ訓練開始!

運転係は、自動車のハンドルを操作して決められたルートを運転する。パッと見だとレースゲームをしているような姿だが、れっきとした訓練なのだ。
一方、砲塔係の記者は、まずは3Dメガネを装着。おお、飛び出してる飛び出してる! 臨場感と共に感じる、ただならぬ緊張感。そして手に構えるのはWiiのコントローラーを改造した機関銃。ゲームならば次々と敵が襲ってくるが、このシミュレーターの中の世界は、不気味なほどに静かだった。

そして車は居住区に突入。一般市民を傷つけないように、ゆっくりゆっくりとパトロールする我々の装甲車。と、その時! どこからともなく発砲音が聞こえたかと思うと、「ヌアッ!」という悲鳴と共に画面真っ黒で「You are dead」の白文字が。どうも一般市民のフリをしたテロリストに狙撃されたらしい。なんだかよくわからないまま訓練終了となったが、きっと実戦でも……と思うと、背筋も凍るリアリティだ。

(取材=GO