アメリカの研究者の報告によると、人類が長年挑戦している火星の有人探査は、事実上困難であることが判明した。研究者は「人は長期間、無重力状態で生活すると筋力が弱くなってしまう」として、火星に辿り着く前に衰弱(すいじゃく)してしまうと指摘している。

アメリカのマルケット大学の研究チームは、国際宇宙ステーションで6ヶ月間活動していた30~50代の宇宙飛行士9人の筋肉量を測定した。その結果、滞在前に比べて筋肉量が約40%減少していたことがわかった。

人間の筋肉は地球の重力により、常に一定の負荷(ふか)がかかっている。そのため筋肉は緊張しており、意識しなくても運動しているのと同じ状態を維持している。しかし無重力空間では負荷がなくなってしまうため、急激に筋肉は衰えてしまうのだ。

NASA(アメリカ宇宙局)の火星有人探査計画では、火星に到達するまでに約10ヶ月間を要する。そして計画通りに1年間の火星探査をし、地球に帰ってくると約2年8か月も無重力状態にさらされてしまうことになる。6ヶ月で40%も筋肉は衰えてしまうのに、1年以上無重力にさらされるとどうなってしまうのだろうか?

研究を行ったロバート・フィッツ教授は「火星にたどり着いても、思うように任務を行うことは難しいだろう」という。さらに、「任務を行ったとしても、地球に帰還するときに、もし緊急着陸する必要に迫られたら対応できない」とも付け加えている。人類が火星に到達するためには、まだかなりの時間がかかりそうだ。今後の研究に期待しよう。

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