近年、小・中学校などの教育現場において、児童や生徒のICT活用能力向上や効果的な授業のためにPCや電子黒板が導入されている。さらに、総務省は、2015年までにデジタル教科書を全ての小中学校全生徒に配備する方針を示すなど、今後教育現場のICT化が進んでいくと見られている。このような背景のもと、東芝とインテルは、共同で新しいパソコンを開発した。

東芝とインテルは2010年7月1日、児童や生徒の学習に適した教育用タブレットPCを共同で商品化したと発表した。東芝が教育用タブレットPC「CM1」として、教育機関向けに8月上旬より発売する。価格は、オープンプライス。

「CM1」はインテルがグローバルで展開する教育向けPCの開発で培った技術と、東芝の堅牢筺体技術や省電力技術などを組み合わせ商品化した教育用タブレットPCだ。モニター部分が180度回転する筺体や、ペン入力が可能なタッチスクリーン液晶を搭載したほか、筺体はラバーで覆われているため滑りにくく、机の上での学習に適している。

また、電子黒板やプロジェクターなどのICT機器との連動が可能なので、共同作業や課題発表にも活用できる。さらに、本体に取っ手を装備しているので、校内の持ち運びにも便利なものとなっている。両社の教育現場のICT環境の普及促進のための取り組みは、何も今に始まったわけではない。

東芝は、PCの販売事業を担当する東芝情報機器とともに、教育市場向けにノートPCだけではなく、PC専用教室の設置や学校内のネットワーク構築などの教育ソリューションを提供してきた。

一方、インテルは、教員向け教育支援プログラム「インテル Teach」の実施や、教育向けソリューション製品を提供しているほか、日本の公立小学校で児童1人1台のPCを国語や算数などの普通授業に取り入れた実証実験を行うなど、PCを効果的に活用したICT環境の普及に取り組んでいる。両社の思惑は、どこにあるのか。

東芝は、教育用タブレットPCを商品化することで、今後も教育現場のICT環境の普及に向け、商品・ソリューションの販売事業を強化していく構えだ。
また、インテルは、今後の社会人に求められるICT活用力、問題解決力、協働力、思考・判断力、コミュニケーション力などの「21世紀型スキル」習得のためICT普及活動を展開することを計画している。

今回の取り組みは社会貢献への一環だが、見方を変えれば両社を宣伝する絶好の機会であり、将来への投資でもあるわけだ。

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