バラエティ番組でも紹介され注目されている、「念」で味を変えるタコヤキ屋『パワーブレンドTANAKA』というお店をご存知だろうか? 店主が指をパチンと鳴らすと、タコヤキがあっさり味やこってり味に変化するという不思議なタコヤキ屋なのだ。バラエティ番組では、出演していたお笑い芸人らが「味が変わってる!」と衝撃を受けていた。

はたして味が変わるのか? 変わるとするなら、一体どんな仕組みで変わっているのだろうか? 取材班は事実を確かめるべく、『パワーブレンドTANAKA』を訪ねた。

お店は東京都荒川区・南千住駅のすぐそばにある。駅から3分ほど歩いた、小学校の真向かいにある小さなお店だ。お店の前に置かれた黄色い自動販売機が目印。基本は持ち帰りの店なのだが、4人がけのテーブル席も設けられており、店内でたこ焼きを食べることも可能だ。

お店に入ると店内には女子大生4人いて、大騒ぎしながらたこ焼きを食べている。「やってやって!」と店主の田中さんに味を変えるリクエストをして楽しんでいた。田中さんは言われるがままに「あっさり」と言って指をパチンと鳴らす。すると味が変わったらしく、食べた女の子たちは「ウソー!」と驚きの声を上げた。

味を変えられるのは彼だけではない。田中さんの指示に従うと、なんとお客さん自ら味を変えることができるようになるのだ。お店では飲み物として『サイダー』が出されているのだが、この味を自分で変えることもできる。「サイダーの缶の、下の方を1回叩くと炭酸が強くなる。2回叩くと冷たくなる。3回叩くと味が濃くなる。元に戻したい時は、缶の頭を1回叩く。自分でやってごらん」と言って、女の子たちが缶を叩くと、これまた「ウソー!」と言って味の変化を認めた。取材班もサイダーを1本もらって試したのだが、確かに味が変化する。1回叩くと炭酸が強くなったように感じ、2回叩くと冷たくなったように感じられたのだ。

これは一体どういうことなのか。田中さんは味が変わる仕組みについてゆっくり説明してくれた。彼の考えによれば、まず物には全て言葉を理解する力がある。これを『物質頭脳』と呼ぶ。物質頭脳は全ての根源であり、神がつくり出したものなのだそうだ。この物質頭脳に命令を出して「あっさり」や「こってり」といった味になるように働きかけている。物質頭脳? 神? 命令? 取材班には理解できない。

「それはひょっとしたら『言霊(ことだま)』のようなものですか?」。言葉に宿ると考えられている霊的な力『言霊』ではないかと質問すると、「違う」ときっぱり否定。「言霊であるのなら、言葉を操れる人は誰でもこの力を使えるはず」という。たしかに言葉を操れる人の誰もが持ち合わせた能力ではない。では何なのか。

「念波だ」と田中さんは能力の正体を明かした。
『念波』とは、超心理学の世界では超能力の一種として考えられているものだ。その念波を通じて物に指示を出す。たとえば「1回叩くと炭酸が強くなる」という念波をサイダーに送っておく。そして物質頭脳はこれを理解し、缶を1回叩かれることによって、炭酸を強くする命令を発動するということのようだ。叩く人は田中さんでなくても、誰でも良い。叩かれると炭酸が強くなる。

味についても同じ理屈で、事前にたこ焼きに念波を送っておき、「あっさり」や「こってり」という言葉をきっかけに、味の変化が起こっているとのこと。わかったようなわからないような理論なのだが、味の変化を感じられるのはたしかなのだ。しかし、数理的な証明ができない。たとえば冷たくなるにしても、何度温度が下がっているのかを証明できない。その点については田中さん自身も悩んでいる様子であった。「どこか(の研究機関)で調べてもらえないかな」と最後にこっそり呟いていたのを取材班は聞き逃さなかった。

そんな田中さんだが、将来的にこの能力を医療や製造の分野で応用したいと考えている。代替(だいたい)医療やiPS細胞(人工多能性幹細胞)で、念波を活用した医療ができないかと思い描いているようだ。念波の研究をはじめて30年、現在も日夜研究を続けているとのことだ。

お店には全国から来客があるという。最近はテレビからの出演依頼も増え、取材日前日には有名芸能人らのロケに同行し、奈良まで出かけたそうだ。今後もさらに注目が集まるものと思われる。興味のある方は、是非一度訪ねてみてはいかがだろうか。味の変化を自分の舌で確かめて頂きたい。

Photo by Rocket News24 Staff / 佐藤記者撮影

▼ 変えられる味は全部で54種類

▼ メニューにはないがタバコやお酒の味、香水の匂いも変えることができる

■ 店舗情報
店名:パワーブレンド TANAKA (タナカ)
住所:東京都荒川区南千住7-4-7
営業時間:12:00~売切れ次第閉店
定休日:水曜日
席数:4席