今、もっとも旬なITの話題といえば、3Dを置いてほかにはないだろう。家電量販店に行くと、3Dテレビのコーナーができていたり、PlayStation3もいつの間にか3Dゲームに対応したりと、3Dの波は着実に一般家庭に押し寄せている。そんな3D市場に対して、国内パソコンメーカーの大手である日本電気株式会社(NEC)が動き出した。

NECは2010年5月27日、個人向け省スペース一体型パソコン「VALUESTAR N」シリーズの新製品として、3D表示機能を搭載したモデル「VN790/BS」を商品化し、本年6月下旬より発売すると発表した。価格は、オープンプライス。市場想定価格は、22万円前後。3Dメガネは1つ付属されるが、別売で追加購入することができる。

人間は、左右の眼で少しだけ異なる像を見ており、この左右の視差から奥行きや立体感を得ている。原理的には、この視差を作り出すことで、3D表示を実現できるわけだ。今回発表された「VN790/BS」は、左眼用と右目用の画像を同一画面上に重ねて表示※し、偏光フィルターを施した液晶画面と専用メガネを利用することで、視聴者に左右の映像を分離して認識させ、3D映像を実現している。 ※横線1ラインごとに左右の画像を表示

DVDソフトには、2Dのタイトルが圧倒的に多いが、本製品では2DのDVDタイトルを3D変換表示したり、デジタルカメラで撮影した2Dの静止画を3D変換表示して鑑賞することができる。また、富士フイルム株式会社の3D対応デジタルカメラ「FinePix REAL 3D W1」を持っていれば、撮影した3Dの静止画や動画の視聴を楽しむこともできる。

3D未対応のモデルと比べた場合、今回の3D対応モデルは実売価格で1.5万円から2万円ほど高くなると予測されているが、今後発売が予定される3D対応ブルーレイタイトルや、個人で撮影した3Dの写真や映像、インターネット上の3D動画の視聴に加え、2Dの写真や映像を擬似的に3D表示して視聴することなどが可能となることを考えれば、決して高い買い物ではない。リアルな3Dの世界をパソコンをいち早く体験したい人には、一考の余地がある商品と言えるだろう。