寝坊してしまって5分遅刻。罰として30分給料をカットされる。会社によっては1時間分カットされるなんて話も良く聞くことである。しかし、この遅刻賃金カットは、違法行為に値する可能性がある。

日常の法律に関する疑問を解決してくれるサイト『ほ~納得!』によると、これは労働基準法の第24条『賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない』の定めに違反する可能性がある。つまり、5分は遅刻して労働していないものの、残りの25分は労働しているため、賃金を受け取る権利(賃金債権)が発生する。会社が25分の賃金をカットした場合には、全額支払いの原則に違反するのだ。カットされた場合は、賃金を会社に請求することが出来ると、ほ~納得!では説明している。ただし労働基準法は、遅刻に対する『制裁』を認めている。制裁を行う場合は第9章就業規則『制裁規定の制限(第91条)』の定める以下の条件で、賃金カットを行っても良いことになっている。

・1回の減給額は平均賃金の1日の半額を超えない
・一賃金支払期の制裁の総額は賃金総額の10分の1を超えてはならない

例えば、1回の遅刻で罰金5000円を課す会社で勤めていたとして、1日9000円の賃金をもらっており、制裁として罰金5000円であった場合は、罰金が1日9000円の給料の半額を上回るので違法になる。また、1ヶ月の給料20万円であった場合に、同じく罰金5000円で5回遅刻し、2万5千円カットされたとしたら、罰金が給料の20万円の10分の1を上回るので違法に当たる。就業規則に書かれていないのにも関わらず、遅刻で賃金カットされた場合も違法になる。

遅刻自体が良いことではないのはもちろんだが、賃金カットが労働基準法に基づいた『制裁』として行われていない場合は違法になる。自分の会社の就業規則を、一度確認してみてはいかがだろう。違法している場合には、ただちに改善を求めた方が良いだろう。何か疑問に思ったら、最寄の弁護士さんに相談しよう。

■参考リンク

法庫.com 『労働基準法』