一昔前までは世界で一番治安の悪い国と言われ、テロ、ゲリラ、マフィア、麻薬、そしてサッカーワールドカップで自殺点を入れた選手が殺された事件もあり、どうしても悪いイメージが先立つ南米の国コロンビア。しかし近年治安が劇的に良くなり海外からの観光客や海外からの投資もかなり増えているという。その首都ボゴタにある暴力で悪名高い刑務所『ラ・モデラ』で毎年行われているレイウ゛パーティーがある。

毎年2月、首都ボゴタの各地を会場に10日間に渡り行われるDIYフェスティバル「BOGOTRAX」。このフェスティバルのプログラムの1つとしてこのラ・モデラ刑務所でのパーティーは行われる。BOGOTRAXはフェスティバルと言っても、日本人の多くがイメージするような、夏に海外から有名DJを招いて開催される商業的な大型フェスティバルのイメージとはかけ離れたフェスティバルだ。参加するアーティスト達はメインストリームで活躍するアーティストではなく、オルタナティブで実験的でパンク精神を持った、いわゆる地下芸術家達が世界中から集まる。DJはもちろんバンド、映像作家、パフォーマンスアーティスト達がボゴタの街の至る所を舞台にパフォーマンスを行う。会場はラ・モデラを筆頭にその他の2つの刑務所、クラブ、バー、公園、ギャラリー、スクワット、美術館、さらには路上でもパーティーが行われる。プログラムもパーティーだけではなく、ドキュメンタリー映画の上映、ワークショップ、ディスカッションなど多岐に渡る。そして驚くことに全プログラムが入場無料なのだ!

コロンビアはここ数年で飛躍的に殺人などの犯罪が減って治安がかなり良くなったといわれている。しかし貧民街や政治的な問題、革命軍らと政府の衝突が再びいつ起こってもおかしくはないような紙一重の不安定な状況は未だにあるという。そういう情勢だからこそ音楽などの芸術に目を向けさせ、貧民街の子供たちがギャングやゲリラ組織に参加するのを防ぐ役割もになっているBOGOTRAXの功績は大きいと思う。

先日、このBOGOTRAXの前夜祭的なパーティーが世界各地(ボゴタ、ローマ、ベルリン、カリフォルニア、メキシコ)で同時開催された。記者は主催者のうちの何人かと話をする機会があり、彼らの素朴で陽気な性格がいたく気に入ったと同時に、彼らの目からは何か強い意志みたいなものを感じる事が出来た。

今年7回目をむかえるBOGOTRAXは今月11日から21日まで、コロンビアの首都ボゴタの各地でノンストップで行われる。

記者:須久和

▼パーティーの様子①

▼パーティーの様子②

▼パーティーの様子③

▼パーティーの様子④

▼パーティーの様子⑤

▼パーティーの様子⑥

▼パーティーの様子⑦

▼パーティーの様子⑧

▼パーティーの様子⑨