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シリーズインタビュー『路上の哲学』。100年に1度の不況と叫ばれる中、世の中では一体何が起きているのか。路(みち)の上から見える世の中や社会を、そこに立つ人の言葉を通して垣間見るインタビューです。

東方力丸氏は、日本で唯一の『漫読家』です。漫読家とは、漫画の読み聞かせをする人。東方氏曰く「お客さんの前で漫画を音読させて頂いている。それだけ」とのこと。しかし、そのパフォーマンスは話題を呼び、TV等のメディアでも取り上げられ、すでにご承知の方も多いかと思います。東方氏が「それだけ」と言うよりも奥深い何かが、『漫読』にはあるのではないでしょうか。

今回は『路上の哲学』初回に相応しい路上活動家、東方氏にインタビューをさせて頂きました。

1、漫読を始められたきっかけについて、教えて頂けますか?

地元の茅ヶ崎の駅で、路上でパフォーマンスをやってらっしゃる方がいて、それを見て自分も何かやりたいと思って、最初はフォークソングの弾き語りをしていたんです。アニメ声優を目指していたこともあって、練習を兼ねて漫画を読むようになりました。茅ヶ崎から渋谷に移って、その後に下北沢に来ました。下北沢は劇団の街だったので、活動し易いと思ってこちらに来たんですけどね。

2、漫読を始められた時に、苦労されたことは?

最初は何でもそうですけど、抵抗がありましたよね。受け入れられるかどうか分からないじゃないですか。下北沢に来てもそうでした。今でも通報されることもあります。あまり賑やかになり過ぎると通行の迷惑にもなりますし。

抵抗がなくなって来たのは、下北に来て『バガボンド』という漫画を読んだ時に、お客さんにすごく喜んでもらえて、その頃から少しずつですけど、安心して出来るようになりました。

3、漫読を続けて行く上で、大変なことはありますか?

こういうとあれですけど、体力的にしんどい時がありますね。読み続けるのは、正直、体力使うんです。体力を維持するのが大変ですかね。実は過去に2回ほど休んでしまったことがあるんです…。後は、周りに対する配慮を怠らないようにしています。新しい場所を開拓するのは、本当に大変なことなので、下北で続けられたらって思っています。さっきも言いましたけど、通報されることもあるので、周りの方のご迷惑にならないように、心掛けています。ご挨拶はきっちりするようにします。

4、路上から見える景色は、不況以前と変わりましたか?

そうですね、若い人は少し減ったかなと思います。夜、出掛ける人は全体的に減ったんじゃないですかね。でも、自分にはほとんど影響がないですね。飢え死にするほど不況の影響を受ける訳じゃないので、ほとんど影響ないですよね。

5、今後の活動の展望について教えてください。

ここで漫読を続けさせて頂くこと。それで全部です。何事もそうだと思いますけど、やり続けないと腕が上がらないし、説得力が生まれないと思うんです。このままこの先20年は続けて行ければいいですね。そのためにとにかく続けていくことです。続けていくために、体力的なことにも配慮しなければいけないし、周りの皆さんにも配慮をしなければいけない。『続けていくこと』『続けていくためのこと』。この2つを大切にしたいと思っています。

TV出演などのお仕事を頂く時もありますが、飽くまでも漫読をメインに続けていきたいと思います。

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個性的な風貌とパフォーマンスで、話題になる東方氏でありましたが、お会いした印象は全く違うものでした。非常に丁寧で律儀な方です。近所の方々に挨拶をし、同じ路上パフォーマーの方にも、進んで挨拶をしていました。

記者も漫読をお願いしたのですが、これがただの音読とは違って、非常に面白いものでした。派手なアクション漫画では効果音を演出するために、漫画を叩いて音を出したり、主人公の視点が変わる際には、漫画を横や縦に動かしたり。登場人物が背後に立つシーンは、東方氏自らが背後に立ってセリフを読んだりと、五感に訴えるものです。

下北沢の駅を歩く人は、老若男女を問わず、東方氏のパフォーマンスに足を止めて見入っていました。未体験の方は是非1度ご体感下さい。内容を知っている漫画も、さらに面白く感じることが出来ますよ!

<漫読 開催日>

毎週土曜日 下北沢駅南口 19時頃~

毎週日曜日 井の頭公園 お昼頃~

■参考リンク
<東方力丸ホームページ>

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