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『無名の偉人』とは、人ぞれぞれの経験や体験を聴くインタビューです。世の中、名のある人間ばかりが功績を残しているのではなく、誰もがそれぞれの誇りを持って生きている。その人知れず紡がれたささやかな物語を紐解く。それが、インタビュー『無名の偉人』です。

『幕末古写真ジェネレーター』というサイトをご存知でしょうか?このサイトは画像データを古めかしい写真にするウェブアプリです。このサイト、昨年4月にリリースされ話題になりました。海外でも利用者いるようです。今回は、このサイトをはじめ、和の情報を配信する『ワノコト』を運営する増田吉孝氏に、お話を伺いました。

1、現在の活動と、その活動を始められた経緯を教えて下さい

普段はウェブ制作をやっています。インターネットを利用したメディアサイトの運営、ウェブシステム制作、それからウェブサイトの運営支援なんかもやっています。活動としては、『ワノコト』を中心に和の情報サイトを8つ運営・管理しています。

和の情報ポータル『ワノコト

和の暮らしを楽しむブログ『瑠璃色Tradition

古民家コミュニティ『ふるみる

古民家情報ブログ『古民家Groove

写真古加工サイト『幕末古写真ジェネレーター

オリジナルの縞地の着物を作るデモサイト『iStripe

男の着物を着丈で検索する『キタケデケンサク

ネット関連の情報ブログ『和風のギークに憧れて…

この8つのサイトを通して『和』の情報を配信しています。

この活動を始めたきっかけは、単純にあったらいいなと思うものを形にしました。何が何でも日本文化を伝えるんだ!というような熱い想いではなく、あったらいいなを形にしました。

2、なぜ、この活動を続けているんですか?

サイトを立ち上げて情報配信を始めた07年頃は、『和』の情報を伝えるサイトで、面白いものがなかったんです。サイトの内容もサイトのデザインも。それで参考になるサイトがないから、作ることから始めたんです。今は思いつくアイディアを順番に形にしていると言った感じですね。

『和のこと』というと、結構口うるさいイメージがあるし、細かいルールとかいろいろあるじゃないですか。自分は、自分の伝える情報を『きっかけ』にしてもらえば良いって思っています。和に興味を持つきっかけ、気軽に楽しめる場所として、サイト運営していますね。

3、和のことを伝えるにあたって、大切にしていることはありますか?

基本は興味の入り口を増やしたいんです。口うるさいことを気にせずに、表面だけを見て楽しんだって良いと思うんです。流派とか流儀とか作法とか、関係なく『カワイイ』とか『カッコいい』で良いと思うんですよ。そうじゃないと、より多くの人に親しまれるものにならないですよね。

後は大切にしているというか、気を付けていることがあります。それは、熱く『和のこと』を語ってしまうと、思想的になってしまいます。情報の伝え方や表現のテンションが、上がり過ぎないようにセーブするように心掛けています。

4、増田さんがもっとも影響を受けた『和のこと』ってなんですか?

そうですね。富山の民謡に『こきりこ節』ってあるんですよ。自分は元々民謡とか聴かなかったし、今でもそれほど聴く訳じゃないんですけど、その『こきりこ節』がとてもカッコいいんですね。

その『こきりこ節』を最初に聴いたのが、テクノバージョンだったんですよ。海外の方の演奏だったと思います。それがすごくカッコ良くて。富山に行った時に、『こきりこ節』で演奏される『ささら』という楽器を買ってしまったほど、影響を受けました。

自分もテクノの『こきりこ節』に影響を受けたように、自分の発信する情報で誰かが『和のこと』に触れるきっかけを与えられたら良いなあと思っています。

5、これからの目標について教えて下さい

日本文化をもっと直接的に拡めたいんですけど、今はまだそれほど、『和のこと』って世の中に多くないと思うんです。例えば、自分のように着物を着て歩いている人って、駅で歩いていても稀じゃないですか。着物着ない方が普通で、着てるというだけで目立ってしまう。日本なのに。だから、まだまだきっかけが足りていないと思うんです。日常化していないんです。

だからそのために、昨年からずっと構想して来た、ポータルサイトを作りました。今までは自分の手の届く範疇で、情報を集めて配信して来ましたが、ポータルサイト『ワノコト』は、情報登録も出来ますしニュースリリースを募っています。このサイトを中心に、さらに『和のこと』を伝えて行きたいですね。

情報を集めて伝えて行くのって楽じゃないんですよ。でも、しっかりやって行きます。しっかりやって行って、多くの人に伝えたいんです。もっと身近に、もっと日常的に『和のこと』を広めて行きたいです。その入り口でありたいです。

柔らかい物腰で穏やかに話される増田氏。実は企業に属していらっしゃいます。情報収集には余念がなく、朝5時に起きてブログ等の執筆にあたっているそうです。なぜ、『和のこと』をひろめているのかとご質問をしておきながら、増田氏とお話していて『そうだよな。日本人だもんな』と、記者自身気付かされる次第でした。着物は夏涼しく、冬温かだそうです。今年の浴衣には間に合いませんでしたが、正月を待たずに着物に袖を通してみるのも、良い嗜みではないでしょうか。

<インタビューの全文を読む『無名の偉人』増田吉孝氏>

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